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戦士の哀歌

先日の事。

ある資格取得の為に、講習を受けなきゃならなくなった。
これが朝から晩までびっちりスケジュールなのは良いとして、講習会場に駐車場がないので、公共交通機関を利用するようにとの事。


……物心つく前から、我が家には自家用車があった。
現在なら「は?」ってなモンだが、僕が生まれた頃は日本が本格的なモータリゼーションを迎える直前であり、自家用車はまだ庶民にとっては、「手が届きそうな夢」であった様だ(だからと言って、ウチが裕福だった訳では決して無い)。


…….とまぁそういう訳で、子供の頃から自家用車での移動が当たり前だったし、中学、高校時代は自転車で何処でも行ってたし、学生時代は自転車からのバイク、クルマになり、社会人になってからも通勤はクルマだったから、公共交通機関には滅法弱いのだ。駐車料金を支払ってでも、クルマで行く気でいた。


だが、今回の研修会場は札幌中心部。電車通勤の経験がない僕には、ある意味「満員電車」って奴に憧れにも似た思いがある。
「一度くらい経験しといてもいいかな?」って気になり、到着時間はギリギリになるが、一番込み合う時間帯を選んで電車で行ってみる事にした。

この時、重大なある事実をすっかり忘れてしまっていた事には、まだ気付いていなかった。





僕の住む町は田舎町だが、近年札幌市のベッドタウンとして発展したものだから、札幌への通勤通学人口はそこそこ多い。
始発駅から2つ目なのに電車内はすでに空席が無く、電車の入り口近くで吊皮につかまっていたのだが、次の駅(ここから札幌市だ)から一気に混み出し、電車は満員になった。

「うわ~何かサラリーマンみたい(事実、その通りなのだが)」とウキウキしていた僕は、わずかその数分後、後悔し始めていた。
忘れていた「重大な事実」に、自らの体の変調で気付かされたからだ。

満員電車の中、太った背の低いおばさんが僕と向かい合う形で押し込まれてきた。
このおばさんが押されるたびに「ふんが~」と(ホントにこんな感じ)息を吐くのだ。
コイツは手強い、と思ったその瞬間、僕の体の中(正確には腸内)を、イナズマが駆け抜けた。

同時に、思い出した。
数々の忌まわしく、無益な戦いを…….






なぜ、僕が公共交通機関を使わないのか、いや、「使えないのか」。


理由の一つは、午前の早い時間はお腹が緩い事。
そしてもう一つ。
人いきれの中に身を置くと、すぐにゲリるからだ。




人間には、我慢出来ることと事と、出来ない事がある。

「便意」


コイツは我慢出来ない事の筆頭だ。
そして、我慢し切れなくなった時に見る地獄は、筆舌に尽くし難い。
そう、奴に逆らう者は、今まで苦労しながら築き上げてきた、地位も、名誉も、誇りも、人間の尊厳さえ一瞬にして奪われてしまう。周りの人すら巻き添えにしてだ。
そして、人間の心に一生消える事のない爪痕を残してゆく。奴が去った後に残るものは、嘲笑、蔑視、汚名、心の傷……….そして、温かく重たいパンツだけだ。


元々、僕は糞ったれである。

朝起きてから出社するまでの約40分間で、必ず2回ないし3回は糞をたれる。どういう訳か子供の頃から朝は腹が緩いのだ。通勤時間が長かった頃、奴と戦った回数は両手でも足りない。


奴から逃れる手段はひとつ。車ごと藪の中に突っ込み、野糞を決めるしかないのだ。





そんな戦いの記憶も、平穏な日々を過ごす事に慣れた今では、のぐった後に残る、言い様のない屈辱感や敗北感など、すっかり忘れてしまっていた。






終点まで30分強、今までの経験上、逃げ切れるかどうかギリギリのラインだ。


奴から逃げる事は絶対に出来ない。だが、奴の目をかすめ取る事は出来る。やるんだ!講習は時間厳守、途中下車してる余裕はない。


そう決断したとたん、第2波が襲ってきた。


マズい…….お腹の雷さまが怒ってらっしゃるのが、はっきりと聞こえる。
目の前のおばさんが、怪訝な表情で僕を見上げてきたが、全力で括約筋を締めている僕の表情を見て、俯いてしまった。

この第2弾は強烈だった。
駄目だ……少しだけ「ガス抜き」しなきゃ保たない…….


いかん、ここで弱気になっては。


確かに今「ガス抜き」しても出所は特定できないだろう。だがそれは、密閉された空間における「テロ行為」に他ならない。
まして万が一それが空砲ではなく、「実弾」だったら……

罪のない人々を死傷させる訳にはいかない。このまま耐え..........


その瞬間、電車が減速し、乗客が一斉に減速Gに身を任せた刹那、おばさんが「げふっ」と小さくゲップしやがった。






「あっ、アイヌネギ……..」



こっ、このババァ……まさかテロリストだったとは!

アイヌネギを食べた翌日のゲップ臭は、半径3m以内の人間を死に至らしめる事は、道産子なら皆知っている。
あまりの汚臭に雷さまも毒気を抜かれたのか、あれほど耐え難かった便意が、波が引いて行くように消えていった。

た、助かった…..毒をもって毒を制すってか。
「ハレルヤ!」と心で喝采し、神を祝福した。



だが、それは奴の罠だったのだ。
腹痛から解放され、気が抜けた瞬間、括約筋緩んで…….






それは、全くの偶然だった。
緩んだ括約筋から漏れ出したのは、「空砲」だったのだ。



だが……充分に熟成された『こくまろ』…….その臭いたるやアイヌネギの比ではなく、目に滲みるっつーか、もう空気が臭い味のする程の激甚災害。現に僕の後ろで咳き込む人が…..向かいのおばさんも心なしか顔を背けてるし。

なんてこった。
まさかこの俺がダークサイドに落ちるとは……

つうか、自らの臭いに触発され、第3弾が……コレが自爆テロか?


だっ、駄目だ。
一旦開いた括約筋に、第3弾に耐える余力はない。さっきからずっと「何か」が少しずつ漏れ出している感覚があるものの、それが空砲なのか実弾なのか、もう判断がつかない。


唯一の救いは、電車が減速した事。駅が近いのだ。何としても.......俺にはまだ、やり残したことが沢山あるんだ。こんな場所で人生を終えてたまるか!



電車のドアが開くと同時に、人ごみを突き飛ばすようにホームを駆け抜け、トイレを目指した。

改札を抜ける瞬間、ハゲの駅員に切符がどうとか言われたが、何を言われているのか理解できない程切羽詰っていたので、切符を投げつける様に渡してトイレに飛び込んだ。



まだだ.....あと少しだけ耐えろ......詰めを誤れば、全てが水泡と帰す。


和式だった事に絶望感を覚え、ベルトを外す指が震えてうまく行かない。
ここで果てたら死んでも死に切れない。落ち着け.......






.........本当に間一髪だった。

多分、声すら出していただろう。

細い血の筋が混じった粥様の泥状便の下瀉は止まることを忘れたかの如く、第2波、第3波と押し寄せる波の如く続き、すべて出し切った頃には、立ち上がる事すら困難な程に脚力を奪われていた.......




結局、タクシーで研修会場に向かい、入場締め切り1分前に到着、何とか講習を受ける事が出来た。




こうして、命がけの戦いを生き延びた僕は、その後何とか試験に合格し、今日を迎えている。
そして、新たな資格取得のため、今日まで3回、同じ会場に足を運んだ。


これまでの駐車料金は、タクシー代を含めると1ヶ月の小遣いの半分をを超えている。



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